城西国際大学助教授
山本満智子先生

城西国際大学 福祉総合学部福祉総合学科 介護福祉コース 助教授の山本満智子先生にインタビューしました(広報誌 TOKIWA 2023 WINTER vol.210より)。

介護の力を見える化する取組み
「気づき」の大切さを伝えたくて

― 山本先生は大学で福祉や介護を研究しておられますが、どのようなきっかけでこのお仕事をするようになったのでしょうか。
私は、福祉の実践経験が約25年あります。人とかかわる福祉の仕事の奥深さに魅了されました。仕事をしながら研修会に参加しそこで知り合った介護の仲間たちと事例研究会を立ち上げ、研究活動を始めました。事例研究を通して介護職個人の専門性が埋もれている現実を知りました。また、同じ物を観ても気づく人と気づかない人がいる。「なんでなんだろう?」と思ったのが「気づき」の研究を始めるきっかけとなりました。

研究活動中の様子

― これまでの研究成果の幾つかを紹介していただけますか。
「気づき」は大切だといわれていますが、研究として着目されていない実態があります。「気づき」の概念化をすれば新人研修をはじめ、介護の現場に役立つと考えました。埋もれている個人の専門性を一般化できるようにデーターを収集し概念化しようとする取り組みです。例えば、目線カメラを介護職の人に着けてもらい、何を観て何を考え利用者にどのような声かけ、介護を展開しているのかを明らかにしようと考えています。研究テーマは、『介護福祉実践領域における「気づき」の生成過程についての研究』です。

授業風景

― どのような苦労がこれまでありましたか。
介護の特性として、利用者も介護職員も個人差があることや利用者の状況が日々変化することなどから、データーの収集や分析など研究方法に悩みます。介護の独自性を明確にし、その他の専門領域を活用しながら方法を模索しています。尊厳や自立支援を基本に、五感を活用し、状況判断し利用者へアプローチしていく専門職性を明らかにしたいですね。

― どのような時にこの仕事をしていてよかったと思われますか。
この間、「ようこそ先輩」という授業プログラムを作り卒業生から授業をしてもらいました。後輩の前で物おじせず授業をしている卒業生の逞しく成長している姿をみると教師冥利につきます。

― ときわ園にはどのような魅力があるか教えていただけますか。
介護実習で大変お世話になっています。コロナ禍で大変な中、実習生を指導くださっている職員の方々に改めて感謝申し上げます。ときわ園の実習では、教育連携の大切さを実感できました。それは、介護実習を終えた学生たちの変化です。実習終了後、計画的に物事を進めていく力をもつことができた学生が多くいます。安心して学生を託せる施設だと思います。

― ときわ園には今後どんなことを期待しますか。
先ほど、「気づき」の研究のお話を紹介させていただきました。ときわ園の職員の方々と一緒に合同研究ができたら素敵だなと思っています。また、施設と大学がつながることで、介護福祉士養成教育の向上や人材育成に貢献できたらいいですね。既に井上介護職長から講義をしていただき大好評でした。今後もお願いしたいですね。今回はこのような発言の場をいただきありがとうございました。

山本先生、この度はインタビューに応じてくださりありがとうございました。