表紙の写真

事務長 石本春樹

 論語の『学而第一(がくじだいいち)』の有名すぎる一節に、「朋有り、遠方より来る、亦悦(たの)しからずや」がある。
 今年7月、大学で所属していた委員会のOB会が開催され、遠方を押して参加してきた。往時の懐かしき人々と座を共にすること、実に24年ぶりのことであった。
 その7日後、高校時代の友人が欧州の地より帰郷したことをきっかけに、少数ではあったもののかつての親しきが集まった。過ぎ去りし日を肴に酌み交わすこと6時間、実に28年ぶりのことであった。
 社会に出、自らの知能と胆力を頼みに、様々な浮沈を味わいながら幾年月。社会的立場の違いなどから時空を異にし、新たな出会いを得、また日常生活に汲汲とするあまり、一時期「友」と呼んだはずの人々を、好むと好まざるとにかかわらず観念の外に置かざるを得ない状況があった。
 だからこそ、その困難さを乗り越えた先の再会には、格別の喜びがある。青春の一時期をともに過ごした旧知との連続的な再会は、「友」という存在が実にかけがえのないものであったのだという、当たり前すぎる事実を思い起こさせてくれた。
 この興奮は、友人らがSNSを使って送ってくれた写真や投稿によって、まだしばらくは続きそうである。
 そして、私のこの興奮は、ときわ園に暮らしておられるご高齢の皆様のことも思い起こさせ、そして、利用者の皆様にも素敵な「友」との再会をぜひときわ園で実現してもらいたいと願わせるのだ。