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常務理事 三枝弘朋

 国内総生産(GDP)がプラス成長を続けており、景気が回復しているというニュースが報道されました。景気が良くなっているというのはなかなか実感できませんが、どの業界でも人手不足が深刻になっているというのは実感できます。
 最近では、人手不足によって倒産する会社もあると言われていて、介護業界でも、人員確保ができないため閉鎖してしまう施設や事業所が増えています。このような状況のため、介護施設で、経済連携協定(EPA)に基づくフィリピン、インドネシア、ベトナムからの介護福祉士候補者生や様々な国からの外国人技能実習生、また、留学生のアルバイトを採用する動きが高まっています。いずれにしても外国人のマンパワーが今後大いに活用されていくことが予想されます。
 以前からこの紙面でもご紹介していますように、ときわ園ではEPAに基づくベトナムからの介護福祉士候補者生の採用を進めております。外国人が日本で働くためには、言語の壁を乗り越えなくてはならず、それには多大の努力が必要です。加えて慣れない文化の中で生活しながら仕事をすることになるので、受け入れる側は外国人の文化や習慣を理解しつつ早く日本の環境に順応できるよう助けていかなければなりません。
 どの国の文化にも長所と短所があり、どちらが優れているとか劣っているという考え方は避けなければならないと思います。社会福祉士の倫理綱領の中に、「すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。」というものがあります。「すべての人間」とあるので、この言葉は施設で働く外国人にも当てはまると言えます。ですから、福祉を実践する者として、お互いに相手の国の文化や考え方を理解し、尊重していくことは大切なことだと感じます。
 もしときわ園でもベトナム人を採用することになりましたら、このことを意識しながら日本の文化や生活、そして仕事に順応できるよう全力で助けていきたいと思います。